合同会社のメリット・デメリット

合同会社のメリット・デメリット

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Q6−a.合同会社のメリット・デメリット

先生のお話を聞いて、「合同会社」に興味を持つようになりました。そこで、「合同会社」のメリットやデメリットを、もっと詳しくお伺いしたいと思うのですが。

はい、わかりました。合同会社のメリットを一言で言えば、従来の株式会社・有限会社のメリットである「有限責任」と、合名会社・合資会社のメリットである「会社運営の自由度が高く、組織もシンプルで設立費用も安い」というメリットを、両方備えているということです。

設立手続きが簡単で、費用も安い

設立費用は、どのくらい違ってくるのですか?

株式会社を新規に設立する場合には、登録免許税だけでも最低で15万円かかります。それに加えて、定款の認証手数料が5万円、収入印紙代が4万円で計24万円の法定費用がかかります。収入印紙代については、電子認証を利用すれば節約できますが、設立手続きを行政書士や司法書士に依頼する場合には、別途報酬が必要となります。一方、合同会社を新規に設立する場合の登録免許税は6万円で、定款の認証は不要です。また、手続きが比較的簡単なため、行政書士や司法書士に支払う報酬も、一般に株式会社の設立よりは安く済みます。

なるほど、この費用は資本金1円の場合でも同じですか?

はい、資本金が1円でも1000万円でも、会社の設立手続きに必要な書類の数や手間そのものはそれほど変わりませんので、法定費用や報酬はだいたい同じようにかかりますね。ただ、資本金額がだいたい2100万円を超えてくると、登録免許税などは変ってきますが。

なるほど、わかりました。とりわけ資本金の少ない会社にとっては、この設立費用の安さは大きな魅力ですね。

はい、それに、合同会社は設立費用が安く済むだけではなく、会社の組織がシンプルなため、運営コストについても低く抑える事が出来るのです。

会社の内部組織をシンプルにすることが出来る

株式会社では、株主総会や取締役会、監査役(会)の設置が、法律で義務付けられています。このうち取締役会や監査役については、「非公開会社」については設置しないことも出来ますが、その場合でも、株主総会の招集手続きや運営方法、決議の要件などについて、法律で様々な規制が定められています。

株式会社では、会社の運営方法が、法律で何かと細かく規定されているのですね。

はい、その理由はQ6−0でお話させていただいたように、もともと株式会社は「所有と経営の分離」を前提とした会社組織なので、経営陣が暴走しないように、こういった法律の規制が多いのですね。しかし、合同会社では、「所有と経営」が一致することから、会社の内部組織を、定款で自由に定めることができます。「自分の会社のことは、自分で決める」ことがしやすいのですね。そして、会社組織をシンプルにすれば、会社の意思決定のスピードは速くなりますし、また、運営コストも安く済みます。

「迅速な意思決定が出来る」という部分には、とても魅力を感じますね。変化の激しい時代ですし。

はい、大きなメリットだと思います。また、合同会社は社員1名でも設立することができます。株式会社も株主1名で設立することができますが、「一人会社」ならなおさら、組織はシンプルの方が良いですよね。こういった場合でも、合同会社は使いやすい会社組織だと思います。

なるほど、わかりました。

社員が有限責任のため、リスクの高い新事業に挑戦しやすい

それから、Q6−0で説明させていただいたとおり、社員が有限責任のために、比較的リスクの高い新事業にも挑戦しやすいことも、メリットの一つです。そこに、「シンプルで小回りの利く組織」というメリットを掛け合わせることができるため、合同会社はベンチャー企業などでの利用が見込まれています。

まあ、経営者本人は個人保証をとられることが多いとは思いますが、それでも有限責任ですと、社員(共同経営者)を集めやすいメリットはありますね。

利益の配分割合を、出資額とは関係なく自由に定めることができる

はい、そして、利益の配分割合を、出資額とは関係なく自由に定めることができるというメリットもあります。

それは、どういうことですか?

例えば株式会社の場合、基本的には議決権や利益の配分は、保有している株式数によって決定されます。例えば、現在株式を100株発行している株式会社で、Aさんが60株、Bさんが30株、Cさんが10株を保有しているあれば、議決権の割合もAが60、Bが30、Cが10となりますし、利益の配当※も同様の割合となります。この割合は、配当優先株式や議決権制限株式などにより、ある程度は変更することは出来ますが、それには様々な法律上・手続き上の制約があります。(※注:新会社法の施行後には、「利益の配当」ではなく「剰余金の分配」という言葉に代わります。ここでは話を解り易くするため、あえて現行法の「利益の配当」という言葉を使用しています。)

結局のところ、株式会社では「金を多く出したものが、一番偉い」のですね。

一方、合同会社では、出資した額に関らず、この割合を自由に定めることができます。例えば、Aさんが60万円、Bさんが30万円、Cさんが10万円出資した場合でも、利益分配の割合をAが50、Bが30、Cが20とすることも出来ますし、会社経営に関する重要事項の決定方法についても、定款で定める事が出来るのです。また、「利益分配は少なくてもいいが、経営の実権は握りたい」Dさんと、「経営には興味はないが、利益分配はたくさん欲しい」というEさんが、共同で合同会社を立ち上げる場合には、例えばDさんを業務執行社員として、会社の経営を行わせる代わりに、利益分配はDが30、Eが70として、両者のニーズを満たすことも出来るわけですね。

なるほど、例えば「お金は出さないが、知恵や汗を出す人」にも、経営権や利益の分配額を、自由に定める事が出来るのですね。

はい、ただ、正確には「分配額」ではなく「分配割合」です。「分配割合」については会社が定款で自由に定めることが出来ますが、その「財源」については、法律で一定の規制が設けられています。

わかりました。

決算公告の義務がない

それから合同会社には、株式会社とは異なり、決算公告の義務がありません。

なるほど、こういった面でもコストが削減できるのですね。

はい。ただし、決算書の作成、および債権者からの閲覧、謄本の交付の請求があったときは、それに応じる義務は課されています。

株式会社への組織変更が可能

なるほど、合同会社には、特に小さな会社にとっては、さまざまなメリットがあるのですね。でも先生、正直なところ、会社の業績が上がり、規模が拡大してきたらやはり株式会社にしたい気持ちもあるのですが。

それなら大丈夫ですよ。いままでの法律では、合名会社・合資会社が有限会社・株式会社に組織変更することは、認められていませんでした。しかし、新会社法の施行後には、合名会社・合資会社・合同会社は、株式会社に組織変更することが認められるようになります。したがって、事業の規模が小さいうちは、まず合同会社でスタートし、事業が一定規模に達してから、株式会社に移行するというのも、ひとつの選択肢になりえます。

なるほど、それもいい方法ですね。でも、合同会社にはデメリットはないのですか?

利益の分配を巡って対立が生じやすい

合同会社のデメリットについては、まず利益の分配を巡って対立が生じやすい点があげられます。これは「利益の配分を、出資額とは関係なく自由に定めることができる」というメリットの裏返しですが、合同会社では、利益の配分を自由に定める事が出来るがゆえに、かえってその事が社員(共同経営者)同士の対立を招きやすいというデメリットとなって現れることも考えられます。最大のメリットが、最大のデメリットにもなりうるのですね。もっとも、この点については「一人合同会社」では問題となりませんが。

なるほど、合同会社は「柔軟」であるがゆえに、こうした問題も起こりやすいのですね。

意思決定について対立が生じると、収拾がつかなくなるおそれがある

はい、同じ事は、会社の意思決定についてもいえます。この点についても、合同会社のメリットである「会社の内部組織を、定款で自由に定めることができる」というメリットの裏返しです。会社内部の意思決定のルールを「柔軟に」設定できるがゆえに、かえってそのことが「あいまいさ」となり、社員(共同経営者)同士の信頼関係が良好なうちは良いのですが、ひとたび対立が生じた場合には、収拾がつかなくなるおそれがあるのですね。

なるほど、この点も「両刃の剣(もろはのつるぎ)」というわけですね。

はい。ただし、この点については「一人合同会社」では問題となりませんし、また定款で業務執行社員を置く旨を定めるなどして、ある程度明確化することは出来ます。いずれにせよ、ここでも「定款」の定め方が、重要なポイントになりそうですね。利益の分配についてもそうなのですが、合同会社は「人的会社」と呼ばれるように、「良くも悪くも」それぞれの構成員の個性や相互の信頼関係が、経営にダイレクトに反映されるのです。

なるほど、そうなるとやっぱり、最後は人間関係が重要なわけですね。

はい。月並みな結論なのですが、合同会社を成功させるか否かは、まず第一に「信頼できるパートナー選び」、そして第二に「信頼関係の維持」ということになりそうです。また、事前にパートナーとよく話し合い、その内容をきちんと定款に反映させておく事も重要だと思います。

わかりました。他には何か、デメリットはありますか?

社会的な認知度が低い

少なくとも、現在の日本では、まだまだ「株式会社」の認知度、信頼度は高く、一方合名会社・合資会社は社会的な認知度や信頼度が低いという傾向があることは否定できません。「合同会社」は、欧米ではLLCとして広く認知されているとはいえ、日本においてはまだ実績がありませんし、認知度、信頼度にも多少の疑問符がつきます。

確かに、名刺に書く肩書きも、「合同会社○○ 業務執行社員○○」よりも「株式会社○○ 代表取締役社長○○」の方が、やっぱり様になりますよね。

はい。ただし、これはその会社の事業内容にもよると思います。例えば喫茶店やラーメン屋さんなどの飲食店、ブティックや雑貨屋さんなどの物販店、理容室や美容室などのサービス業については、会社名よりも「屋号(店名)」がオモテに出る商売ですし、また、基本的には「お客様相手の現金商売」です。お店に来るお客様は、そのお店が個人商店なのか、合同会社なのか、株式会社なのかに関心があるのではなく、そのお店で提供される料理の味、販売している商品の魅力、カットの技術や接客、サービス内容に関心があるわけです。したがって、こういった業種では、合同会社である事が、株式会社である事に比べて、営業上特に不利になることはないと思います。

なるほど、「名よりも実をとる」、「花より団子」というわけですね。

はい、また、新会社法が施行されると、株式会社の数がこれまでよりも飛躍的に増えるでしょうから、やがては「株式会社」というものが巷にあふれるようになり、単に「株式会社」というだけでは信頼されない時代がやってくるのではないでしょうか。そうなると、やはり会社を選ぶのも「形態よりも中身」が重視されるようになるでしょうね。一方、「合同会社」については、ある程度時間はかかるとは思いますが、徐々に社会的な認知度や信頼度もアップしていくのではないでしょうか。

最初のうちは、良くも悪くも珍しがられるでしょうね。その他に、デメリットはありますか?

オーナーの権利譲渡・事業承継が難しい

はい、オーナーの権利譲渡・事業承継が、株式会社に比べると難しいこともあります。合同会社の社員(共同経営者)の地位の一部または全部を他人に譲渡する場合には、原則として他の社員『全員の同意』が必要となります。合同会社では「人的な信頼関係」が重視されるため、社員が誰であるかは他の社員にとって重大な問題なのですね。

なるほど、それは要するに、「Aさんがいてこそ、私はこの合同会社の経営に参画していたんだ」という他の共同経営者の意向を尊重しているわけですね。

はい、したがって、もしAさんがその社員(共同経営者)の地位を、例えば息子のBさんに譲りたいと考えたとしても、他の社員のうち一人でも反対されればそれまでなのです。

「Aさんだから一緒にやってきたんだ、Aさんの代わりに、あんなバカ息子のBが経営に参画するなんて冗談じゃない」という人がいたら、Aさんは息子Bに事業を承継できないわけですね。

はい、この点、株式会社ではオーナーの地位(=株主)を譲渡することは原則として自由ですし、また、もし株式の「譲渡制限」があったとしても、株主総会なり取締役会なりで一定の決議をすれば、少数の反対株主がいたとしても、株式を譲渡することが出来ます。なお、この点については、合同会社から株式会社への組織変更は認められていますので、事業の立ち上げの時期には合同会社で経営を行い、事業承継の時期になったら株式会社に組織変更をするという方法もあります。

なるほど、わかりました。ただ、このデメリットは、一人会社や通常の同族会社であれば、それほどは問題なさそうですね。

親族間で争いがあったりしなければ、まあ通常は大丈夫でしょう。

その他には、デメリットはありますか?

そうですね、株式会社と比較した場合のデメリットは、だいたいこれくらいですね。あとは、合名会社、合資会社、有限責任事業組合(LLP)と比較した場合のデメリットを述べておきます。

労務や信用の出資が出来ず、また出資全部の払い込みが必要となる

これは、「合名会社・合資会社」と比較した場合のデメリットです。合名会社や合資会社の無限責任社員では、「労務」や「信用」の出資も認められており、また、合資会社の有限責任社員の場合は、設立時に必ずしもその全額を払い込む事が必要とされていないのに対して、合同会社では「労務」や「信用」の出資は認められておらず、また設立時までに出資金の全額を払い込む必要があります。もっとも、たとえ1円でも出資すれば、社員となれるわけですし、また、利益の分配割合などは出資の額とは無関係に定める事ができるので、それほど問題にならないとも言えそうです。

計算書類(決算書類)を、債権者が閲覧できるようにする必要がある

これも、「合名会社・合資会社」と比較した場合のデメリットです。合名会社・合資会社の場合にも、計算書類の作成義務や、社員に対して開示する必要はありますが、債権者に開示する必要はないのですね。これに対して合同会社では、計算書類を社員はもちろん債権者(銀行や取引先など)に対しても開示する必要があります。

法人課税であること

この点については、後述する「有限責任事業組合(LLP)」と比較した場合のデメリットです。したがって、株式会社・有限会社や合名会社・合資会社と比較した場合には、合同会社はこれらの会社と課税上大きく異なるわけではないため、デメリットとはいえません。なお、日本の合同会社のモデルとなった欧米のLLCでは「パス・スルー課税」というものが認められており、これが税金対策上非常にメリットが大きいことから、LLCの普及に大いに貢献していたのですが、残念ながらこの制度は「日本版LLC」と呼ばれていた合同会社では認められませんでした。なお、「パス・スルー課税」については、「有限責任事業組合(LLP)」の項目で詳しく説明させていただきます。

わかりました。今日は長時間のご説明をいただき、ありがとうございました。

こちらこそ、ありがとうございました。

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会社法を活用するための経営者のみなさんや起業家のみなさんの参考となれば幸いです。是非ご活用下さい。
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