新会社法で有限会社はどうなる?

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Q 3 - 0.有限会社はどうなるのですか?

現在私は有限会社を経営しています。「新会社法」が施行されると有限会社はなくなるとのことですが、どうすればよいのですか?

現在すでに有限会社を経営されている場合、新会社法の施行後には次のような選択肢があります。

  1. そのまま「有限会社」として経営を続ける。
  2. これを機に、株式会社に組織変更する。
  3. 合同会社・合資会社・合名会社に組織変更する。
  4. 個人事業に戻る。
  5. いっそ廃業する。

このうち4や5はまあ論外として、一般的な経営者の方であれば1と2のどちらをとるのかで悩まれることと思います。

5は冗談きついですね〜。ところで1についてですが、有限会社は「なくなる」のではないのですか? そのまま経営できるのですか?

はい。「なくなる」といっても、新会社法の施行前から存在する有限会社については「特例有限会社」として、少なくとも当面の間はそのまま存続できます。
ただし、新会社法が施行されると、新たに有限会社を設立することは出来なくなります。

なるほど、ではうちの有限会社は存続できるのですね。それでは、そのまま有限会社として経営を続ける場合について説明してください。

わかりました。

1.そのまま「有限会社」として経営を続ける場合

この場合には、一定の例外的なケース(※)を除いては、新会社法が施行されても、特に何もする必要はありません。
この場合、新会社法の施行後は、法律上は「特例有限会社」といって株式会社の規定が適用されますが、取締役の任期などについては「整備法」によって従来の有限会社法の規定が適用されますので、結局のところは、ほとんど何も変わらないといってもいいでしょう。

法律上は、有限会社は株式会社になるのですね。それでは、社名も有限会社から株式会社にしてもよいのですか?

いいえ、新会社法が施行された後でも、なんら手続きなしに「株式会社」を名乗ることはできません。この場合には定款変更や登記など、一定の手続きが要求されます。

「一定の例外的なケース(※)」というのが、多少気になるのですか・・・

社長の有限会社では、定款の中に次のような規定は書いてありますか?

  • ・議決権について、出資割合と異なる規定を設けている場合
  • ・配当について、出資割合と異なる規定を設けている場合
  • ・残余財産の分配について、出資割合と異なる規定を設けている場合

例えば議決権についてですが、通常の有限会社の議決権は、出資1口について1個となっています。たとえば、出資50口の社員A、出資30口の社員B、出資20口の社員Cがいる有限会社なら、議決権の割合も通常はAが50個、Bが30個、Cが20個となります。

しかし、定款で、これと異なる割合の議決権を定めることができます。こうした規定が定款にある場合には要注意です。

配当や残余財産の分配についても、出資口数とは異なる割合で、分配する金額を定めることもできます。こうした規定が定款にある場合にも要注意です。

こうした規定が定款にある場合にはどうなりますか?

以上のような規定が定款に定めてある有限会社については、新会社法が施行された後6ヶ月以内に、「種類株式の登記」を申請する必要があります。また、6ヶ月を経過する前であっても、他に登記をする場合には、その登記と同時に、「種類株式の登記」を申請しなければなりません。この登記を怠った場合には、その有限会社の取締役又は清算人は、100万円以下の過料に処せられますので注意が必要です。

う〜ん、こんな規定あったかな〜、あまり覚えていないのですが・・・

こういった規定を定款に定めている有限会社はあまりないと思いますので、それほど心配する必要はありませんよ。でも一応、定款をチェックしておいた方がよいでしょう。もし不安のある場合には、ぜひ私にご相談ください。

わかりました、一度見ていただいたほうがいいですね。

2.株式会社に組織変更する

次に株式会社に組織変更する場合です。新会社法が施行されると、資本金を増額したり、役員の人数を増やすことなく、割と簡単に有限会社から株式会社に変更が出来る事になります。

具体的には、資本金300万円のままでも株式会社になれますし、取締役1名のみ、監査役なし(いわゆる「ひとり社長」)でも、定款に「株式譲渡制限」の規定を盛り込むことによって株式会社となれます。

なるほど、それではこの機会に、うちも「株式会社」に変更しようかな。やっぱり「有限会社」よりも「株式会社」の方が、語感やイメージがいいし。

そうですね。でも、新会社法施行後の「株式会社」よりも現行の「有限会社」の方が、会社の運営上都合がいい部分もあります。まず、従来の有限会社のメリットをおさらいしますと、

○従来の有限会社のメリット

  • ・取締役の任期がないため、それまでの株式会社のように2年ごとに役員変更の登記をする必要がない。
  • ・取締役は1名でよく、取締役会を設置しなくてもよい。
  • ・監査役を設置しなくてもよく、設置する場合でも任期がない。
  • ・決算公告の義務がない。

一方、新会社法施行後の株式会社の場合ですが、

○新会社法での株式会社(株式譲渡制限の規定を設けた場合)

  • 取締役の任期は、定款で定めることにより最長10年に出来る。
  • 取締役は1名でよく、取締役会を設置しなくてもよい。
  • 監査役を設置しなくてもよく、設置する場合でも、その任期を定款で定めることにより
    最長10年に出来る。
  • 会計参与を設置することができる。(設置するかどうかは任意)
  • 「種類株式」を発行する事が出来る。
  • 各事業年度の決算公告をしなければならない。
  • 株主総会の「招集通知」をしなければならない。

となっています。

従来の有限会社と全く同じというわけにはいかないのですね。

まず、取締役の任期については、従来の有限会社では「無期限」であったものが、原則は2年となることです。任期は定款で定めることによって10年に延長することができます。

しかし、逆に10年に一度となると、変更登記を忘れてしまうかもしれませんね。

また、任期が長すぎると、逆にある取締役に「お引取り」願いたいときに問題となりそうです。「任期満了」で辞めていただくのと、任期の途中で「解任」するのとでは、やはり受け止め方が違いますからね。もっとも、取締役1名の「ひとり社長」なら、この点は問題となりませんが。

なるほど、取締役が複数いる場合では、任期は長ければ良いというものでもないのですね。

それから有限会社では不要であった決算公告が、株式会社では必要となります。決算公告とは、株式会社の決算書を新聞や官報などに掲載することです。

掲載料金が、結構かかるそうですね。

ただ、新会社法ではインターネットのウェブサイトに掲載する方法も認められています。この場合、公告内容を5年間掲載しなければなりませんが、そのために使用するサーバースペースはそれほどでもないと思われますので、現在すでにウェブサイトを持っている会社にとっては、もっともコストがかからない方法だといえます。

なるほど。でも、正直なところ、決算書を5年も続けて掲載するというのも・・・何せ、決算書の内容があまり褒められたものではありませんので・・・

でも、私の知人の経営する株式会社では、決算公告をしていないようですが?

それはいけませんね〜(笑)。従来の「会社法」でも、株式会社ならば決算公告をする義務があるはずなのですが・・・

ただ、ここだけの話ですが、実際のところ、中小企業では決算公告をきちんと行っていた会社は少なかったともいわれていますね。また、そのことが原因で過料を科せられたという話も、あまり聞いたことがないそうです。

な〜んだ、それなら決算公告をしなくても大丈夫ですかね?

いえいえ、やっぱりちゃんとするべきです。といいますのは、新会社法では、現在の中小企業の実態に合わせて、規制の内容が従来の「会社法」に比べると、かなり緩やかになっています。にもかかわらず、この決算公告の義務が新会社法にもきちんと残されている事が、かえって私は不気味に感じられるのですね。

つまり、ルールを緩くするかわりに、取り締まりはきちんと行うようになるかもしれないということですね。では、やっぱりきちんとした方がよさそうですね。「取り締まり第1号」にはなりたくないですし(笑)

あと、最後の株主総会の「招集通知」は一見面倒くさそうですが、株主が1名だけの場合には不要ですし、株主が複数いる場合には必要ですが、口頭やeメールで通知することも認められています。それに、多くの中小企業では株主全員といっても身内の2〜3名だけということが多いでしょうから、こちらはあまり気にする必要はないと思われます。

結局、「株式会社」になるか「有限会社」を続けるかは、変更する手続き自体の費用・手間(定款変更や変更登記など)のほかには、「決算公告」がネックとなりそうですね。先生はどちらをお勧めしますか?

私は、この機会に「株式会社」になることをお勧めします。そうしないと私も「商売」になりませんので(笑)。社長、変更手続きはぜひ私にやらせてください(笑)。

ごもっとも・・・では、やっぱりしばらくは「有限会社」を続けます(笑)

待ってください、社長!(笑) 有限会社を株式会社にするメリットも、確実に存在しますよ。

例えば「会計参与」を設置して決算書の信頼性を増し、銀行の融資を受けやすくするといったことが出来るようになります。この「会計参与」については、また別の項目で説明しますが、会計参与は有限会社では設置することができませんので、設置する場合には株式会社に組織変更をする必要があります。

税理士さんに聞いたのですが、会計参与を設置した会社には、有利な条件で融資を行うという動きも、金融機関ではあるそうですね。

やはり、決算書の信頼性が上がりますからね。決算公告についても、同様のことが言えると思います。やはりこれからの時代、「経営の健全性・透明性」を確保する事が、会社にとっては長期的に見てプラスになると思います。

うまいこと言いますね〜。でも、確かに最近は「粉飾決算」が、会社にとって命取りとなる例が増えていますね。

それに株式会社にすると、経営の安定を図るため、さまざまな手段をとることができるようになります。例えば、株主間で株式を譲渡する場合にも、一定の制限を設けることが出来るようになることや、「株主になってほしくない親族」が相続によって株主となってしまうような場合に、その株式を強制的に買い上げてしまうことができる制度を利用することができるようになります。

なるほど。それに、やはり「株式会社」のもつ言葉の響きは、捨てがたいものがありますね。

ただ、新会社法が施行された後では、有限会社はいつでも株式会社になれますが、逆に株式会社が有限会社に「戻る」ことは出来なくなりますので、慎重に対応する必要があります。

それでは、しばらくは、あわてずに様子を見ようかな・・・

いえいえ、社長、ぜひこの機会に「株式会社」になりましょう。変更手続きはぜひ私に(笑)。

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会社法を活用するための経営者のみなさんや起業家のみなさんの参考となれば幸いです。是非ご活用下さい。
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